「一人で何十人も見るなんてできるのだろうか」。わたしも転職前は同じことを考えていました。病院の夜勤は複数人で回し、何かあれば相談できる環境でした。現在の有料老人ホームでは、1フロアを一人で担当しています。実際に働いて感じた負担と、病院夜勤より楽になった部分を、そのまま紹介します。施設によって人員配置、設備、業務範囲は異なるため、一つの勤務例として読んでください。
- わたしが働く施設の夜勤体制
- 夜勤の開始から終了までの流れ
- 巡視で確認していること
- 見守りセンサーで夜勤の負担が変わった
- 転倒や体調変化があったときの対応
- 一人で担当していて大変だと感じること
- 病院夜勤より負担が減った部分
- 一人夜勤では休憩の取り方も違った
- 施設夜勤が向いていると思う人
- 転職前に確認しておきたいこと
- まとめ
わたしが働く施設の夜勤体制
勤務時間は17時から翌朝10時までで、途中に1時間の休憩があります。夜勤回数は基本的に月2回です。多い月は3回、人手が足りなかったときに4回入ったこともありますが、普段は月2回ほどに落ち着いています。
担当するのは1フロアで、多いときは約30名です。一人で担当するといっても、施設内に自分しかいないわけではありません。別のフロアにも夜勤スタッフがいるため、困ったときには相談できます。完全に孤立した状態ではありません。
ただし、医師は施設内にいません。ここは病院夜勤との大きな違いです。
夜勤の開始から終了までの流れ
出勤したら、まず申し送りを受けます。日中に何かあったか、体調に変化のある方がいるかを確認し、一晩の見通しを立てます。
巡視は21時から始まり、翌朝5時まで2時間間隔です。巡視、排泄、バイタル測定など、行ったことをその都度記録します。わたしの施設では、スマートフォンやタブレットで入力できるため、持ち運びやすく、その場で記録しやすいところが助かっています。
わたしが経験した施設には、記録アプリを使うところもあれば、紙で記録するところもありました。紙の施設では、夜勤中に翌1週間分の記録シートを印刷し、大きなファイルへ挟んで準備する作業もありました。記録方法は、施設によって違います。
朝は5時半ごろから起床介助が始まります。7時半ごろまでに食事ができる状態へ整え、8時に一斉に朝食という流れです。全員の起床、着替え、食堂への移動を時間までに進める必要があるため、一晩のなかで最も慌ただしい時間帯だと感じます。
夜間が落ち着いていた日でも、朝食前は別です。この時間を終えると、10時の退勤までは比較的ゆったり過ごせます。
巡視で確認していること
夜勤中に必ず行う仕事は巡視です。入居者さんが眠っているか、起きているかを確認し、眠っている方については呼吸の状態も見ます。
ただし、わたしの施設には見守りセンサーがあるため、すべての巡視で一部屋ずつ居室へ入ることはほとんどありません。モニターで確認できる情報を見ながら、必要な場合に居室へ向かいます。
巡視の方法は設備や施設のルールによって変わるため、転職前に確認しておきたい部分です。
見守りセンサーで夜勤の負担が変わった
わたしの施設では、各部屋のベッドに見守りセンサーが設置されています。睡眠状況やバイタルサインに関する情報がパソコンのモニターへ表示され、全体の状況を確認できる仕組みです。
センサーがなければ、決められた時間に全室を回り、一人ずつ状態を確認する必要があります。眠っている方を確認するために部屋へ入り、近づくことで、起こしてしまう可能性もあります。
モニターで状況を確認できると、スタッフの巡視負担が軽くなるだけでなく、入居者さんの睡眠を妨げにくくなります。わたしが病院夜勤より楽になったと感じる部分の一つであり、設備に助けられていると実感しています。
転倒や体調変化があったときの対応
夜間に何も起きない日ばかりではありません。転倒があったときは、まず状況を確認してバイタルを測ります。どこをどのように打ったか、意識の状態、痛みの有無などを見ていきます。
体調に変化があったときも、観察と再検が基本です。すぐに何か処置をするというより、経過を見ながら判断していく形になります。
緊急時には施設の対応フローがあるため、それに従います。自分の判断だけで動くのではなく、決められた手順があることが前提です。
一人で担当していて大変だと感じること
いちばん困るのは、予定外のことが重なったときです。一人で担当しているため、何かが同時に起きたとき、どちらを先にするかを自分で決めなければなりません。
例えば、転倒リスクの高い認知症の方のセンサー対応中に、別のコールが鳴ることがあります。片方へ対応している間、もう片方には待ってもらうことになります。その優先順位を一人で決めることが、夜勤で負荷を感じる部分です。
コールは施設用のスマートフォンへ通知されます。わたしの施設には、担当フロアだけのコールが届く端末と、全フロアのコールが届く端末があります。そのため、担当フロアのコールが鳴り続ければ、別フロアのスタッフも異変に気づける仕組みです。
よほどのことがなければ別フロアのスタッフを呼ばず、できる限り自分で対応しています。普段は落ち着いている分、複数の対応が重なったときに大変さを感じます。
病院夜勤より負担が減った部分
急性期では月8回、療養病棟では月5回の夜勤をしていました。今は月2回程度なので、回数だけを見ても体への負担は大きく変わりました。
仕事内容で楽になったと感じる点は二つあります。一つは、見守りセンサーによって巡視の負担が軽くなったことです。もう一つは、病院より定型作業が少ないことです。
病院夜勤では、時間ごとに処置や記録、次の時間帯の準備が並び、それが途切れずに続いていました。施設夜勤には、あの詰まった感覚がありません。
ただし、「施設の夜勤は楽」と言い切るつもりはありません。基本的には一人で判断し、対応するため、負担の種類が違うのだと思います。
一人夜勤では休憩の取り方も違った
一人夜勤では、休憩の取り方にも難しさがあります。病院では交代で仮眠を取っていましたが、今の施設ではそのような形ではありません。
わたしが経験した一人夜勤の施設には休憩室や仮眠室がなく、フロア内のスタッフルームで机に伏せたり、椅子を並べたりして休んでいました。軽く眠っていても、コールやセンサーが鳴れば、すぐに起きて対応する必要があります。
施設によっては、各フロアが2人体制で、交代して休めるところもあります。2人体制を希望する場合は、転職前に人員配置と休憩方法を確認しておくことが大切です。
施設夜勤が向いていると思う人
これはわたしの主観ですが、一人で動くことが苦にならない人には合うと思います。誰かと一緒に確認しながら進めたい人は、一人で担当する施設夜勤に不安を感じるかもしれません。反対に、人の目がないほうが自分のペースで動きやすい人には向いていると思います。
もう一つは、予定外のことが起きたときに、自分で優先順位を決められることです。大きな判断を迫られる場面はほとんどありませんが、同時にコールやセンサー対応が発生することはあります。
一人で判断することが苦手なら、1フロア2人体制の施設を探す方法もあります。反対に、処置や業務が次々に続くほうが集中できる人には、急性期病院の夜勤が合うかもしれません。
転職前に確認しておきたいこと
まず確認したいのは、夜勤の勤務時間と休憩方法です。わたしの職場は17時から翌朝10時までで、休憩は1時間ですが、施設によって異なります。
次は夜勤時の人員配置です。何名を担当するのか、同じフロアにほかのスタッフがいるのか、別フロアに相談できる相手がいるのかを確認します。休憩室や仮眠室の有無も聞いておくと、休み方を想像しやすくなります。
見守りセンサーなどの設備も大切です。設備の有無で夜間の負担は変わりますが、求人票に載っていない場合があります。見学時に確認するか、転職エージェントを通して聞く方法があります。
同じ有料老人ホームでも、夜勤の中身は施設ごとに違います。勤務時間、人員配置、休憩環境、設備をまとめて確認してから判断することをおすすめします。
まとめ
わたしが働く有料老人ホームの夜勤は、17時から翌朝10時までで、1フロアを一人で担当します。休憩は1時間です。21時から翌朝5時まで2時間間隔で巡視し、朝は起床介助から朝食までが最も慌ただしくなります。
病院夜勤と比べると回数が減り、定型作業も少なく、見守りセンサーによって巡視の負担も軽くなりました。一方、予定外の対応が重なったときには、一人で優先順位を決める必要があります。ここが施設夜勤ならではの負荷だと感じます。
夜勤がきついかどうかは、施設の人員体制、設備、休憩環境によって大きく変わります。転職を考える場合は、見学や面接で夜勤の具体的な体制を確認することが大切です。